キャットフードの種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からない。
「総合栄養食」「一般食」「ドライ」「ウェット」など、袋に書かれた言葉の意味を知りたい。
キャットフードは、何のために与えるかという「目的」と、水分の量で分ける「形状」の2つで分類できます。
この2つを知っておくと、毎日のごはんにしてよい袋かどうかを、袋の表示だけで見分けられるようになります。
この記事では、ペットフード公正取引協議会とペットフード協会の説明、ペットフード安全法の省令をもとに、種類ごとの違いと選び方を整理しました。ドライとウェットで猫が口にする水の量を比べた研究も紹介します。
この記事でわかること
- 目的の分け方は4つ。毎日のごはんにできるのは「総合栄養食」と書かれた袋
- 総合栄養食の表示に加えて原材料の割合まで比べたいなら、全年齢用の総合栄養食で割合を公開しているグランツが見比べやすい
- 形状はドライ・ソフトドライ・セミモイスト・ウェットの4つ。違いは水分の量
- 猫用のフードには、プロピレングリコールを使ってはいけないと省令で決まっている
- 選ぶ順番は「目的→成長段階→形状」の3ステップ
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【結論】キャットフードは「目的」と「形状」の2つで分ける
先に、全体の形をまとめておきます。
- 目的で4つ:総合栄養食・療法食・間食・その他の目的食
- 形状で4つ:ドライ・ソフトドライ・セミモイスト・ウェット
- 毎日のごはん:成長段階が合った「総合栄養食」を選ぶ
- ドライかウェットか:どちらにも長所がある。水分の取り方で選び分ける
迷ったときは、袋の表に書かれた「総合栄養食」の文字と、対象の成長段階を最初に見てください。そこが合っていれば、あとは形状や好みで選んで大丈夫です。
療法食もサプリも、これまでいろいろ使ってきました。種類が多くて迷う気持ちは、よく分かります。
目的で分ける4種類【総合栄養食・間食・療法食・その他】
袋のどこかには、必ず「何のためのフードか」が書かれています。ペットフード公正取引協議会の公正競争規約では、目的によってペットフードを4つに分け、それぞれ表示すべきことを決めています。
① 総合栄養食:毎日のごはんにするフード
総合栄養食は、水とそのフードだけで、表示された年齢の猫の健康を保てるよう栄養のバランスを整えたフードです。毎日の主な食事として与えることを目的にしています。
総合栄養食と表示するには、袋に次のことを書く決まりがあります。
- どの成長段階に合うフードか(子猫用・成猫用・全成長段階用など)
- 体重ごとの給与量と、1日の給与回数
- 基準を満たすことを「分析試験」と「給与試験」のどちらで確かめたか
分析試験は、製品の栄養成分を測って基準と比べる方法です。給与試験は、実際に猫に食べさせて確かめる方法です。どちらの場合も、ペットフード公正取引協議会への届け出が必要とされています。
② 間食:おやつやご褒美のフード
間食は、おやつ・スナック・トリーツなど、限られた量を与えることを想定したフードです。しつけやご褒美、コミュニケーションに使われます。
ペットフード協会の説明では、間食の量は原則として1日に必要なエネルギーの20%以内に抑えることが求められています。袋には「給与限度量」が書かれているので、主食の量もそのぶん減らしましょう。
おやつの中には、主食と同じ栄養の基準をクリアしたものもあります。その場合は「給与量の目安」と書かれていることもあります。
③ 療法食:獣医師の指導のもとで使うフード
療法食は、病気の治療の内容に合わせて、栄養成分の量や比率を調整したフードです。動物病院で、獣医師の指示に沿って食事の管理に使うためのものとされています。
袋には、どんな状態の猫が対象か、体重ごとの給与量、そして獣医師の指導を受けて与えるよう求める注意書きが入ります。ペットフードの中で、病名を書けるのは療法食だけです。
ただし、療法食でも「病気を防ぐ」「治す」といった表示はできないと決められています。あくまで治療を助けるためのフードです。
④ その他の目的食:おかずやサプリメント
上の3つのどれにも当てはまらないものが、その他の目的食です。ペットフード協会は、主に2つに分けて説明しています。
- 副食・おかずタイプ:食いつきをよくするためのフード。「一般食(おかずタイプ)」「一般食(総合栄養食といっしょに与えてください)」「ふりかけ」などと書かれる
- 栄養補助食:特定の栄養の調整やカロリーの補給が目的。「栄養補完食」「カロリー補給食」「動物用栄養補助食(動物用サプリメント)」などと書かれる
とくに注意したいのが「一般食」です。名前だけ見ると主食のようですが、一般食だけでは1日に必要な栄養が足りないことがあります。袋には、総合栄養食などと一緒に与える必要がある旨が書かれています。
缶詰やパウチを買うときは、「総合栄養食」か「一般食」かを確かめる習慣をつけておくと安心です。
袋のどこを見れば、目的が分かる?
目的の表示は、袋の裏の成分や原材料の近くにあることが多いものです。「総合栄養食」「間食」「一般食」などの文字を探してみてください。
ペットフード安全法の省令では、猫用のフードに5つの項目を必ず表示するよう決めています。
- 名称
- 原材料名
- 賞味期限
- 製造業者・輸入業者・販売業者の名前と住所
- 原産国名
目的や成分は、これとは別に公正競争規約で表示が求められている項目です。袋を手に取ったら、名称・目的・成長段階・原材料の順に見ていくと、短い時間でも中身が分かります。
とくに通販では、商品ページに目的の表示が出ていないこともあります。その場合は、袋の写真を拡大して確かめるか、販売元に問い合わせると確実です。
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形状で分ける4種類【ドライ・ソフトドライ・セミモイスト・ウェット】
もう1つの分け方が、水分の量で分ける形状です。ペットフード協会の区分をもとに、4つを並べました。
| 形状 | 水分の量 | つくり |
|---|---|---|
| ドライ | 10%程度以下 | 加熱して膨らませた固形がほとんど |
| ソフトドライ | 25〜35%程度 | 加熱して膨らませ、湿潤調整剤でしっとりさせる |
| セミモイスト | 25〜35% | 押し出し機などで作り、膨らませない。湿潤調整剤を使う |
| ウェット | 75%程度 | 殺菌して缶詰・アルミトレー・パウチに詰める |
※一般社団法人ペットフード協会「ペットフードの種類」より。順位ではありません。
ドライ:水分を10%程度以下に抑えた、いわゆるカリカリ
ドライは水分が少ないぶん、保存しやすく、1袋の量も多めです。水分が13%以上あるとカビが生えやすくなるため、12%以下に保つ必要があり、多くは10%以下になっているそうです。
ソフトドライとセミモイスト:猫用はほとんど見かけない
ソフトドライとセミモイストは、しっとりした食感を保つために湿潤調整剤を使います。犬用では種類がありますが、猫用ではほとんど見かけません。
理由の1つが、ペットフード安全法の省令です。しっとりさせる目的で犬用のフードに入ることがあるプロピレングリコールについて、猫を対象とするフードに用いてはならないと決められています(愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令)。
ペットフード公正取引協議会も、ドッグフードには使えても猫には使えない添加物があると説明しています。犬用のフードを猫に与えないようにしましょう。
ウェット:水分75%程度の缶詰やパウチ
ウェットは水分が多く、香りが立ちやすいフードです。缶詰のほか、アルミトレーやレトルトパウチに入ったものがあります。総合栄養食のウェットもあれば、一般食(おかず)のウェットもあるので、目的の表示もあわせて確かめましょう。
ドライとウェットはどう違う?水分・保存・歯の面から比べる
ふだんの主食を選ぶとき、多くの人が迷うのがドライかウェットかでしょう。それぞれの長所と短所を、研究も交えて見ていきます。
ウェット中心だと、猫がとる水分の合計が増える
英国の研究チームは、同じドライフードに水を加えて、水分6.3%・25.4%・53.2%・73.3%の4種類を作り、6匹の猫に3週間ずつ食べさせました(Buckley ほか, 2011年)。
水分73.3%のフードを食べた猫は、自分で飲む水は減ったものの、フードと飲み水を合わせた水分の合計が1日約145mLになりました。水分6.3%のときの約103mLより多く、尿も薄くなっています。
ドライ中心の猫は、自分で水を飲んで水分を補うしかありません。ドライを主食にするなら、水飲み場を増やすなど、飲みやすい環境を整えておきましょう。ウェットを毎日使うときの考え方はウェットを毎日与えるときの条件の記事で紹介しています。
保存と値段はドライ、香りと食べやすさはウェット
- ドライ:開封後も保存しやすく、量あたりの値段が抑えやすい。ごみも少なめ
- ウェット:香りが強く食べやすい。歯や口が弱った猫にも出しやすい。開封後は早めに使い切る必要がある
ウェットは1回分ずつの包装が多く、ごみが増えやすいのも現実的な違いです。家の事情に合わせて、両方を組み合わせてもかまいません。
ドライを食べていれば歯のケアになる、とは言い切れない
「ドライは歯にいい」と言われることがあります。オーストラリアで、市販の缶詰やドライを食べる飼い猫20匹と、小動物や虫を食べる野良猫29匹の歯を比べた研究があります(Clarke と Cameron, 1998年)。
飼い猫のほうが歯石は多かった一方、歯周病の割合には差がありませんでした。研究者は、獲物中心の食事でも歯周病は防げないとまとめています。
犬猫の歯周病と食事についての総説も、適切な栄養と口のお手入れの両方が必要だとしています(Logan, 2006年)。フードの形だけに頼らず、歯みがきなどのケアも続けましょう。
キャットフードの選び方は「目的→成長段階→形状」の3ステップ
では、実際にはどんな順番で選べばいいのでしょうか。袋の表示を見る順番に沿って、3つのステップで考えます。
ステップ1:毎日のごはんなら「総合栄養食」を選ぶ
まず、目的の表示を見ます。毎日のごはんにするなら「総合栄養食」、おやつなら「間食」です。療法食は、獣医師に指示されたときに使いましょう。
ステップ2:猫の成長段階に合った表示を選ぶ
総合栄養食には、どの成長段階に合うかが必ず書かれています。公正競争規約の施行規則で決められている成長段階は、栄養の必要量が多い順に次のとおりです。
- 妊娠期/授乳期
- 幼猫期/成長期(グロース)
- 成猫期/維持期(メンテナンス)
- 全成長段階(オールステージ):上の3つをすべて満たすもの
ペットフード協会の説明では、一般的に成長期用は1歳まで、維持期用は1歳から6〜8歳前後まで、それ以降は高齢猫用とされています。何歳で切り替えるかは猫ごとに違うので、体型や食べる量を見ながら決めましょう。
3匹のうち1匹は16歳、2匹は8歳です。同じ家でも、年齢がこれだけ離れることがあります。
年齢の違う猫がいる家では、全成長段階(オールステージ)用の総合栄養食だと、同じ袋を出しやすくなります。高齢の猫のフード選びはシニア猫の袋の選び方をまとめた記事も参考にしてください。
ステップ3:ドライかウェットかを選ぶ
最後に形状を選びます。猫用ではソフトドライやセミモイストがほとんどないため、実際にはドライかウェットか、またはその組み合わせになるでしょう。
水をあまり飲まない猫にはウェットを取り入れる、保存や値段を重視するならドライ中心にする、というように家の事情に合わせて選べば大丈夫です。
がんで痩せた子には、種類にこだわらず、口にしてくれるものを優先して選んでいました。
同じ総合栄養食でも、原材料の中身は袋ごとに違います。原材料の見方は名前を挙げて原材料を確かめた記事や、表示から見送る袋を決める記事でくわしく紹介しています。
体型や毛玉が気になるなら「機能」の表示も見る
ペットフード協会によると、機能で分ける分類はまだ定着したものではないものの、肥満対策や毛玉対策のフードが代表的です。「体重ケア」「毛玉ケア」などと書かれた袋がこれにあたります。
こうしたフードも、まずは総合栄養食かどうかと成長段階を確かめてから選びましょう。よく吐く猫のフードの見直し方は、猫がごはんを吐くときに見直したことの記事にまとめています。
ごはんは3匹それぞれのケージで出しているので、誰がどの種類をどれだけ食べたかが分かります。
原材料に割合まで書かれている総合栄養食の例は、グランツの原材料欄を1行ずつ見た記事で見られます。
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キャットフードの種類でよくある質問
種類の違いで、よく聞かれる4つの疑問に答えます。
Q1. 「一般食」だけを毎日与えてもいいですか?
一般食はおかずの位置づけで、それだけでは1日に必要な栄養が足りないことがあります。袋に書かれているとおり、総合栄養食と一緒に与えましょう。
Q2. 犬用のフードを猫に与えてもいいですか?
与えないでください。犬と猫では必要な栄養が大きく違い、犬用には使えても猫には使えない添加物もあります。猫用の総合栄養食を選びましょう。
Q3. 療法食を自分の判断で選んでもいいですか?
療法食は、病気の治療を助けるために獣医師が使い方を決めるフードです。気になる症状があるときは、先に動物病院で相談してください。
Q4. ドライとウェットを混ぜて与えてもいいですか?
どちらも総合栄養食なら、組み合わせてかまいません。合計のカロリーが多くなりすぎないよう、それぞれの給与量を合わせて調整しましょう。
まとめ:袋の「目的」と「成長段階」を見れば、種類で迷わない
読み終えたあとに残しておきたいポイントは、次の5つです。
この記事のまとめ
- 目的は4つ。毎日のごはんは「総合栄養食」
- 間食は1日に必要なエネルギーの20%以内が原則
- 療法食は獣医師の指導のもとで使う
- 形状は水分の量で4つ。猫用はほぼドライかウェット
- ウェット中心だと、とれる水分の合計が増える
種類で迷ったら、「総合栄養食」の文字と成長段階の表示から確かめてみてください。袋の表示が読めると、フード選びがぐっと楽になります。
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参考にした研究
- Buckley CM ほか. Effect of dietary water intake on urinary output, specific gravity and relative supersaturation for calcium oxalate and struvite in the cat. Br J Nutr 106 Suppl 1:S128-130, 2011(PMID 22005408)
- Clarke DE, Cameron A. Relationship between diet, dental calculus and periodontal disease in domestic and feral cats in Australia. Aust Vet J 76(10):690-693, 1998(PMID 9830570)
- Logan EI. Dietary influences on periodontal health in dogs and cats. Vet Clin North Am Small Anim Pract 36(6):1385-1401, 2006(PMID 17085242)